固体機能デバイス研究施設について
開学まもない昭和54年以来、他大学に先駆け教育研究としてIC(集積回路)の試作を行う一貫した設備の整備と維持を行い、平成6年に現在の施設に移行しました。その間、エンデバー搭載の宇宙実験用ICチップの開発からセンサとICを一体化したインテリジェントセンサなどの数々の独創的固体機能デバイスを開発・試作し、半導体・集積回路技術の全分野を真に理解できる大学院生の養成と独創的研究開発に努めてきています。
施設は、集積回路の設計から、マスク作製、ICプロセス、評価までを有機的にできるCAD室とクリーンルームを備えています。微細加工技術を必要とする学内共同研究、社会人向けIC講習会(26年間継続)、国際技術交流(韓国との拠点大学方式交流事業(学振)など)の拠点施設の役割も果たしています。また、平成14年からはVBLと「機能集積化知能デバイスの開発・研究」で協力運営体制を整え、平成19年度に採択されたグローバルCOEプログラムでは「LSI工場」として研究・教育の拠点となっています。
固体機能デバイス教育・開発・施設整備等の主な歴史
昭和53年 | 開学、新入生入学 |
昭和54年 | 集積回路実験室(C1-405)完成:npnバイポーラ・トランジスタの試作に成功し、ラジオ製作 |
昭和55年 | 宇宙酔い研究用IC(スペースシャトル・エンデバーに搭載)の開発・研究開始 |
昭和56年 | 第一回集積回路技術講習会開催 |
昭和57年 | 集積化磁気センサの研究開始 |
昭和58年 | テレメータIC研究開始 |
昭和59年 | 集積化磁気センサ試作、メロディーCMOS・IC試作 |
昭和60年 | 生体信号用CMOS・LSI開発 |
昭和61年 | 低電圧駆動テレメータIC試作 |
昭和62年 | SOI構造デバイス研究開始 |
昭和63年 | 2次元磁界検出高機能集積化磁気センサ試作 |
平成 元年 | 3次元集積化磁気センサ開発 |
平成 2年 | 宇宙実験用多生体多チャネルテレメトリIC開発(NASDAと共同研究) |
平成 3年 | 高温度用圧力センサ開発 |
平成 4年 | 本学試作ICによるエンデバー宇宙実験成功、立体構造型多次元シリコン磁気センサ |
平成 5年 | 離散フーリエ変換VLSI試作、ニュ?ロチップ開発開始、立体構造コイル型高感度磁気センサ開発、ダブルSOI形高感度・高温度用圧力センサ開発(新技術事業団) |
平成 6年 | 固体機能デバイス施設完成・稼働開始、超高感度マイクロフラックスゲート磁気センサ開発、シリコン加速度センサ開発、容量形圧力センサ開発、韓国 慶北大学校センサ技術研究所との交流協定締結(博士学生5名来日) |
平成 7年 | 日本工業教育協会業績賞受賞、SSDM Award受賞(米津)、ビジョンチップの研究開始、ニューロチップ開発 |
平成 8年 | SOI加速度センサ開発、集積化マイクロフラックスゲート磁気センサ開発、高温用圧力センサ実用化 |
平成 9年 | 低消費電力型画像圧縮イメージセンサ開発、集積化3次元加速度センサ(センサシンポジウム第1回優秀論文賞:高尾) ATIP(ASIAN TECHNOLOGY INFORMATION PROGRAM)で評価 |
平成10年 | SHULUMBERGER Award 受賞(高温度用センサー:石田)、日本神経回路学会奨励賞(動き検出:浅井)、高専教官教育用(MUPS)CMOS集積回路チップ試作、生体電位計測スマートセンサチップ開発開始 |
平成11年 | 韓国との拠点大学方式交流事業開始(次世代半導体開発:日本学術振興会事業)、エピタキシャルSOI-CMOSチップ完成、バイオチップ研究開始、融合形センサチップ開発 |
平成12年 | ステッパー導入(サブミクロン化へ)、Si(111)基板上のCMOS回路チップ、高温環境用高精度オペアンプチップ |
平成13年 | 生体電位計測スマートセンサチップ発表(国際会議招待講演、新聞、第10回応用物理学会講演奨励賞:河野) 血球カウンタチップ発表(国際会議、新聞) |
平成14年 | 21世紀COEプログラム「インテリジェントヒューマンセンシング」(〜平成18年度) 都市エリア産学連携事業「スマートセンサ」(〜平成16年度) |
平成15年 | 「機能集積化知能デバイスの開発・研究」でベンチャービジネスラボラトリー(VBL)と協力運営体制開始 pHイメージセンサ発表(第12回応用物理学会講演奨励賞:飛沢)、単結晶薄膜強誘電体型スマートチップ開発 |
平成16年 | 国際会議(IEDM)にて神経電位計測チップ発表(IEEE 若手EDS賞:河野)、IT農業用スマートチップ放映(NHK) |
平成17年 | JST-CREST「先端的統合センシング」、都市エリア事業(発展型)、固体機能デバイス施設改築(評価室増設) |
平成18年 | 光・電子集積技術業績者賞受賞(モノリシック光電子融合システム基盤技術の先駆的研究:米津) フィルタレス蛍光検出センサ発表(第22回応用物理学会講演奨励賞:丸山) |
平成19年 | グローバルCOEプログラム「インテリジェントセンシングのフロンティア」(〜23年度) OEIC単位回路実現(第22回応用物理学会論文賞:古川、若原) |
平成20年 | 第28回集積回路技術講習会(主催VBL) 電気学会学術振興賞(進歩賞)「MEMSと電子回路の集積化技術とそれを用いた先進デバイスの研究」(石田、澤田) JST-CREST「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」 光・pH融合イメージセンサ発表(第24回応用物理学会講演奨励賞:松尾) 知的クラスター創成事業「浜松オプトロニクスクラスター」「東海広域ナノテクものづくりクラスター」(〜H23年度) 固体機能デバイス施設増設(極微細露光室、イオン注入室) |
平成21年 | テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム開始 Siマイクロワイヤ突出型フォースセンサ開発(Transducers09 Outstanding Paper Award:池戸) |
平成22年 | エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)竣工 応用物理学会フェロー「エピタキシャル成長とスマートマイクロセンサーの先駆的研究」(石田) 知の拠点重点研究プロジェクト 1bitモノリシックカウンタのOEIC開発(山根、若原、岡田) 4インチ窒化物半導体プロセスライン構築 |
平成23年 | 1.5μm CMOSプロセス確立 |
平成24年 | GaN:Eu 赤色高効率発光デバイスを発表(第32回応用物理学会講演奨励賞:関口) |
平成25年 | 文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門「イオンイメージセンサシステムの研究」(澤田) 第7回RF-MEMS技術講習会開催、第4回窒化物半導体プロセス講習会開催 |
平成26年 | 電気学会 業績賞「集積化センサ工学発展への貢献」(石田) JST-CREST「非標識神経伝達物質イメージセンサによる細胞活動可視化システム構築と脳機能の時空間解析」 |
平成27年 | JSTさきがけ「光干渉型分子間力センサによる高感度マルチバイオマーカー検出システム」(高橋) |
平成28年 | AIST-TUT先端センサラボラトリー設置、ミニマル製造装置(レジスト塗布、現像、露光)設置 |
平成29年 | 社会人向け講習会「半導体プロセス技術の基礎講習とプロセス実演」実施開始 |
平成30年 | JSTさきがけ「生体光刺激のための侵襲型LEDデバイスの革新」(関口) |
平成31年 令和元年 | 文部科学大臣表彰 若手科学者賞「光干渉型ナノメカニカルセンサによる生体分子計測の研究」(高橋) 第39回集積回路技術講習会開催 |